大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和42年(オ)163号 判決 1967年7月21日

上告人

林文子

被上告人

西村タケコ

右訴訟代理人

難波貞夫

主文

原判決を破棄する。

本件を大阪高等裁判所に差し戻す。

理由

職権をもつて調査するに、地方裁判所が控訴審としてなした判決に対する再審事件について、同地方裁判所が言い渡す判決は控訴審たる資格でなすものである(民訴法四二三条)から、右再審事件の終局判決に対して高等裁判所になす上訴は上告と解すべきである。したがつて、神戸地方裁判所の昭和二九年(レ)第九号家屋明渡等控訴事件の判決に対する本件再審事件につき、同地方裁判所がなした再審の訴の却下する判決に対して大阪高等裁判所になされる不服申立は上告であり、再審原告たる上告人は大阪高等裁判所に対して上告状と明記した書面を提出して不服申立をしたにもかかわらず、原審は誤つてこの上告状を控訴状と解し、控訴審としての訴訟手続をなして控訴判決をしたものであることは、本件記録および原判文上明らかである。原審が控訴審としての訴訟手続をなし、控訴判決をしたことは、民訴法四二三条の解釈適用を誤まつた違法があり、失当であつて、原判決は破棄を免れない。

よつて、上告論旨について判断するまでもなく、民訴法四〇七条一項に従い、原判決を破棄して本件を原審に差し戻すこととし、裁判官全員の一致で、主文のとおりである。(奥野健一 草鹿浅之介 城戸芳彦 石田和外 色川幸太郎)

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